畳にカビキラーは使えません。
塩素がい草を漂白し、色ムラや変色が残るためです。
畳を傷めずにカビを落とすには薄めたハイター・エタノール・お酢の3つが扱いやすい方法になります。
この記事では、畳を変色させない除去手順と、使ってはいけない薬剤、再発を防ぐ湿気管理までまとめています。
今日からすぐに試せる内容なので、落ち着いて順番に進めれば大丈夫です。
なぜ畳にカビキラーは使えないのか(変色・漂白・劣化)

畳のカビ取りにカビキラーが使えない最大の理由は、主成分である塩素系漂白剤がい草を傷めるためです。
畳は植物素材で吸収性が高く、薬剤が繊維に染み込むと色素が分解され、元の色との差がはっきりと残ります。
白く抜けたような変色やまだら模様は一度できると元に戻せないため、使用後に後悔してしまうケースが珍しくありません。
さらに、塩素系の薬剤は素材の内部にまで浸透し、繊維を弱らせる力も持っています。
掃除のつもりが畳の寿命を縮めてしまうことになり、張り替えが必要になる可能性もあります。
カビを落とすより損失のほうが大きくなるため、カビキラーは和室と極めて相性が悪いと考えておくのが安心です。
また、揮発成分が強いため、吸い込むことで体に負担がかかることもあります。
畳に限らず、通気の悪い部屋で塩素系漂白剤を扱うのはリスクが高く、目や喉の刺激、めまいを引き起こすこともあります。
強い洗剤ほど効果的に思えますが、畳の場合は逆の結果につながりやすいと知っておくと判断が早くなります。
カビだから強い洗剤を、という発想は畳では禁物です。
まずは素材に優しい方法から試すことが、長くきれいな状態を守るいちばん賢い選択になります。
カビ取りに使える3つの方法
畳のカビ取りには以下の3つの方法があります。
- 薄めたハイターで優しく落とす
- アルコールで除菌しながら落とす
- お酢でやさしく落とす(食品由来で安心)
それでは、それぞれ見ていきましょう。
① 薄めたハイターで優しく落とす
畳のカビを落とす際、キッチンハイターは原液ではなく200倍以上に薄めて使うことが大切です。
強い漂白力はそのまま畳を痛めてしまうため、効果と安全性のバランスを保つために希釈が必要になります。
水で薄めることで薬剤の負担をやわらげつつ、表面に付着した軽度のカビならしっかり除去できます。
使い方は難しくありません。
薄めたハイターを雑巾に染み込ませ、カビがある部分にだけそっと当てます。
畳は擦ると繊維が毛羽立ち、カビが奥へ押し込まれる可能性があるため、こすらずに押し当てるイメージで湿布のように使うと効果的です。
その後は別の雑巾で水拭きをして薬剤を残さないようにし、最後に窓を開けたり扇風機を当ててしっかり乾かします。
ハイターは強い洗浄力を持つため、広範囲ではなくピンポイントで最小限に。
刺激を抑えながら使えれば、畳の色や質感を保ったまま表面のカビを取り除けます。
においが気になる場合は換気をしながら行うと、作業後の空気もすっきりします。
次に紹介する方法は、薬剤の匂いが気になる人や、扱いをより慎重にしたい場合に向いています。
② アルコールで除菌しながら落とす
塩素系が気になる場合や、臭いを抑えつつカビを処理したいときは、アルコール(エタノール)での除菌が向いています。
揮発性が高く畳に水分を残しにくいため、カビが再発しにくい環境を作れる点が大きなメリットです。
ハイターより刺激が少なく扱いやすいので、初めてのカビ取りにも取り入れやすい方法です。
使い方はシンプルで、まずアルコールを雑巾に含ませ、カビのある部分に軽く押し当てるように乗せます。
拭き取ると見た目には落ちたように見えますが、繊維の中に胞子が押し込まれる場合があるため、こすらず浸透させることを意識します。
数分置いて雑巾を替え、再び水分を取るように回収すれば処理は完了です。
このとき、雑巾は繰り返し使わず処分する方が安心です。
アルコールは除菌と乾燥が同時に進むので、短時間で作業を終えたいときにも重宝します。
畳が湿った状態はカビにとって好条件となるため、手早く仕上げられる点が大きな強みです。
作業後は換気をして匂いを外へ逃すと、空気も畳もすっきりします。
次は、より身近でナチュラルな選択肢として「お酢」を使う方法を紹介します。
③ お酢でやさしく落とす(食品由来で安心)
刺激のある薬剤を避けたいときは、お酢を使った除去方法が便利です。
食品としても使われる成分なので安全性が高く、小さなお子様やペットがいる家庭でも気兼ねなく試せます。
お酢には弱い酸性の力があり、カビの繁殖を抑えながら表面の汚れを浮かせる作用があります。
使う際は必ず10倍に薄めることがポイントです。
原液では酸が強すぎて畳を傷める可能性があるため、まずはぬるま湯で希釈し、その液を雑巾に含ませます。
畳の目に沿ってゆっくりとなでるように拭くと、繊維を痛めずカビが表面から離れやすくなります。
広げずに取り除くイメージで作業するときれいに仕上がります。
仕上げは乾いた雑巾で水分を拭き取り、しっかり乾燥させます。
水気が残ると再びカビが生えやすくなるため、拭き取りのあとの乾燥は丁寧に行うほうが安心です。
香りは薄まっているため残りにくく、自然な成分でケアしたい人に向いています。
まとめ|畳は薬剤の選び方で守れる!

畳のカビ取りにカビキラーは使えません。
塩素がい草の色素を抜き、変色や傷みの原因になるためです。
強い洗剤ほど安心と思いがちですが、畳の場合は素材との相性が最も大切です。
安全に落とす方法としては、薄めたハイター・アルコール・お酢の3つが扱いやすく、状況に応じて使い分けると効果的です。
どの方法でも乾燥は仕上げの要で、最後まで水分を残さないことで再発を防げます。
日頃から換気を習慣にし、湿気をためない環境づくりを心がけると、畳はきれいな状態を長く保てます。
和室は空気を吸う素材で作られています。
正しい手順を知っていれば、落ち込むほどのカビも慌てず対処できます。
気持ちよく横になれる畳を取り戻し、住まいの心地よさを守っていきましょう。
【参考】


