七五三では、おはしょりなしで子供に着物を着せても大丈夫です。
本来、着物の着付けには「おはしょり」という布の余りを折り返す部分があります。
しかし、昔から「対丈(ついたけ)」といっておはしょりを作らずに着る方法も存在します。
特に子供や浴衣の場合は自然な着方として受け入れられてきました。
この記事では、七五三や浴衣でのおはしょりの有無について、年齢や性別ごとの違い、歴史的な意味、現代の工夫までやさしく解説します。
では早速みていきましょう♪
七五三でおはしょりなしにして良いの?
冒頭文でもお伝えした通り、結論から言えば七五三でもおはしょりなしで着物を着せて問題ありません。
ただし、性別や年齢によって違いがあるので整理してみましょう。
男の子(3歳・5歳)
七五三では羽織と袴を着用するため、おはしょりを出す必要はなし。
むしろ袴の下でおはしょりを作るとゴワついてしまうため、「おはしょりなし」が正解です。
3歳の女の子
被布(ひふ)と呼ばれる袖なしの上着を羽織るスタイルが基本。
この場合もおはしょりを作らなくて大丈夫。
もともと3歳は「髪置きの儀」と呼ばれ、髪を伸ばす年齢のお祝いで着物の着付けも簡略化されています。
7歳の女の子
七五三で唯一「おはしょりを作る」とされているのが7歳の女の子。
帯を大人と同じ形に結ぶため、おはしょりをきちんと作るのが正式な形です。
しかし実際には「着物が短い」「手持ちの着物を着たい」といった事情もあるため、無理におはしょりを作らなくても構いません。
7歳の女の子は「しごき帯」でカバーできる
7歳の七五三で使う「しごき帯」は、帯の下に巻く飾り帯です。
この帯を巻くことで、多少おはしょりが短くても自然に隠れてしまいます。
- 帯と着物の境目を隠す効果
- 帯結びを安定させる効果
- 写真撮影でもおはしょりの有無が目立ちにくい
そのため、「おはしょりが作れないから七五三の着物が着られない」という心配は不要です。
浴衣はおはしょりなしで子供に着せてもOK
浴衣の場合は、さらに気楽に考えて大丈夫です。
というのも、浴衣はもともと夏の普段着や湯上がり着として使われてきた背景があり、格式ばったルールよりも「着やすさ」「動きやすさ」が重視されてきたからです。
そのため、子供に浴衣を着せる際に「おはしょりを作らなければいけない」と神経質になる必要はありません。
対丈(ついたけ)という着方
「対丈(ついたけ)」とは、おはしょりを作らずに裾までの長さでそのまま着る方法のことをいいます。
もともとは男性の着物の基本的な着付け方であり、シンプルで実用的な着方です。
最近では女性の浴衣でも「すっきり見える」「着付けが楽」「動きやすい」といった理由から、対丈で着る人が増えています。
特に暑い夏の時期には布の重なりが少なくなるため、涼しく快適に過ごせるというメリットもあります。
子供の浴衣に対丈が向いている理由
子供の浴衣を考えると、対丈はむしろ理にかなった着付け方法だといえます。
そもそも子供の浴衣は、成長を見越して長めに仕立ててあることが多いのですが、年齢や身長によってはおはしょりを十分に作るほどの余裕がない場合があります。
成長に合わせて裾が少しずつ短くなり、やがておはしょりがなくなるのは自然なことです。
つまり「おはしょりがなくなった」ということ自体が「子供の背が伸びた証」でもあるのです。
また、夏祭りや盆踊りなどで子供が活発に動く場面では、布が重なりすぎると着崩れの原因になってしまいます。
おはしょりなしで着せれば、腰回りがすっきりして動きやすく、着崩れも起こりにくくなります。
さらに、布の量が減る分だけ涼しく感じられるので、暑い夏の日でも快適に過ごすことができるでしょう。
このように考えると、子供の浴衣に関しては「おはしょりがないと不自然なのでは?」と心配する必要はありません。
むしろ、実用的で理にかなった着付け方として昔から行われてきた方法なのです。
親御さんにとっても着付けが簡単になり、子供にとっても動きやすく快適に過ごせるので、一石二鳥といえるでしょう。
おはしょりとは?意味と役割を知っておこう
ここで「おはしょり」とは何かを整理しておきましょう。
【おはしょりの定義】
- 着物の丈を調整するために、腰の部分で布を折り返した部分のこと。
- 女性の着物に特有のスタイルで、布の余りを帯の下にふんわりと出すのが特徴。
【おはしょりの役割】
- 丈の調整
→ 子供は成長に合わせて着物を長めに仕立てるため、その余りを折り返して調整する。 - 着崩れ防止
→ 布が二重になることで摩擦が生まれ、着物がずれにくくなる。 - 成長祈願の意味
→ 長いおはしょりは「これからもっと背が伸びますように」という願いを込めて作られてきた。
つまり、おはしょりは単なる布の余りではなく、機能性と象徴性を兼ね備えた大切な部分なのです。
着付けをするときの工夫と便利グッズ
「おはしょりなし」で着付けるときに役立つ工夫を紹介します。
- 腰ひも・付けひもをしっかり固定
→ おはしょりがない分、腰ひもで前合わせをきっちり押さえることが大切。
- コーリンベルトを活用
→ 胸元が開きやすい場合は、コーリンベルトを使うときれいに収まる。
- 安全ピンでの応急処置
→ 小さな子供は動き回るので、腰ひもが緩むとすぐ崩れてしまう。
見えない位置でピンを留めておくと安心。
- レンタル着物は事前に相談
→ 最近のレンタルショップでは「短め丈」や「おはしょり不要」の仕立てを選べる場合もある。
写真撮影のときのポイント
七五三や夏祭りのような特別なイベントでは、記念として写真を撮る機会が多いですよね。
そのため「おはしょりがないと見栄えが悪くならないかな?」と心配する親御さんもいらっしゃいます。
ですが実際には、おはしょりの有無が大きな問題になることはほとんどありません。
大切なのは、写真に写る全体の印象をきれいに整えることです。
以下の点に気をつければ、自然で華やかな仕上がりになります。
① 帯やしごき帯で境目をカバーする
七五三で7歳の女の子が締める「しごき帯」や、浴衣に合わせる帯は、おはしょり部分と帯の境目を隠してくれる効果があります。
特にしごき帯は鮮やかな色や柄を選ぶと、着物全体のアクセントにもなり、おはしょりの有無が全く気にならなくなります。
帯の結び目やリボン部分が華やかに写るので、写真ではむしろ可愛らしさが際立つでしょう。
② 裾の長さをそろえてバランスを整える
写真に映ったときに一番目立つのは、裾の長さや全体のシルエットです。
おはしょりがない場合でも、裾が左右でずれていなければ清潔感のある印象になります。
裾をそろえておくことで、立ち姿も座り姿もきれいに見えます。
特に集合写真では細部よりも全体のバランスが大切なので、裾の長さをチェックしておきましょう。
③ 小物で視線を上に集める
写真を見たとき、人の視線はまず「顔」や「髪飾り」に向かいます。
そのため、帯やおはしょり部分に視線が集まることは少ないのです。
かわいらしい髪飾りや花かんざし、明るい色のバッグや巾着を持たせると、自然と視線が上半身に集まり、下半身のおはしょりの有無は目立たなくなります。
子供らしい元気さや可愛らしさを引き立てるためにも、小物は積極的に活用しましょう。
④ 姿勢や表情を意識する
どんなに着付けがきれいでも、猫背になっていたり表情が硬かったりすると写真の印象は下がってしまいます。
逆に、おはしょりがなくても背筋をすっと伸ばし、にこやかに笑っていれば写真はとても美しく仕上がります。
撮影前に「背中を伸ばして」「笑顔だよ」と声をかけてあげると安心です。
全体の印象が大切
写真に残るのは「おはしょりの有無」ではなく「そのときの子供の表情や全体の雰囲気」です。
多少おはしょりがなくても、帯や小物で華やかさを出し、裾の長さや姿勢を整えていれば十分に美しい仕上がりになります。
七五三や夏祭りは、家族の大切な思い出を形に残す時間。形式よりも「楽しく、可愛らしく」撮影できることを一番に考えましょう。
FAQ:よくある質問
Q1. おはしょりなしはマナー違反になりませんか?
→ 七五三や浴衣の場合は問題ありません。
むしろ子供には自然で着やすい方法です。
Q2. おはしょりなしだと着崩れしませんか?
→ 腰ひもやコーリンベルトでしっかり固定すれば大丈夫です。
Q3. 手持ちの着物が短い場合どうすれば良いですか?
→ 裾除けを合わせたり、帯でうまく隠したりする方法があります。
Q4. レンタルの着物でもおはしょりなしで着せられますか?
→ 多くのレンタル店では調整可能なので、事前に相談してみてください。
Q5. しごき帯は必ず必要ですか?
→ 7歳の女の子の七五三では必須とされています。
おはしょりの有無を隠す役割もあるので使うのがおすすめです。
まとめ:七五三や浴衣でおはしょりなしでも大丈夫
まとめると、
- 七五三でもおはしょりなしで着付け可能
- おはしょりを作るのは7歳の女の子のみ
- 男の子と3歳の女の子はおはしょり不要
- 7歳の女の子も「しごき帯」でカバーできる
- 浴衣は「対丈」で着るのが一般的で、大人も子供も問題なし
- 工夫次第で着崩れや違和感は防げる
七五三や浴衣は、子供の成長を祝う特別な装い。
大切なのは「形式」よりも「健やかに育ってほしい」という親の思いです。
おはしょりの有無にとらわれず、子供にとって着やすく、美しい思い出が残る着付けをしてあげましょう。
【参考】
⇒おはしょりの縫い方は?着崩れないためのポイントと注意点を徹底解説!