子供に浴衣を着せるときに悩みやすいのが「おはしょりの長さ」。
きれいに整えたつもりでも「ちょっと長すぎるかも」「もっと短くできないかな」と感じることはよくあります。
実は、おはしょりの長さは腰ひもの位置で調整することができるのです。
腰ひもを高い位置で結べばおはしょりは短くなり、逆に低い位置で結ぶと長くなるのです。
この記事では、浴衣のおはしょりが長いときの基本的な処理方法や、子供に着せるときの具体的な工夫をご紹介します。
浴衣のおはしょりが長い時の処理方法とは?
浴衣のおはしょりが長い場合、まず意識したいのが腰ひもの位置です。
- 腰ひもを高めに結ぶ → おはしょりが短くなる
- 腰ひもを低めに結ぶ → おはしょりが長くなる
この原則を覚えておくと、微調整がしやすくなります。
ただし、腰ひもの位置を大きくずらすのはおすすめできません。
高すぎる位置で結ぶと胸を締め付けて苦しくなり、低すぎると歩いているうちに下がって着崩れの原因になります。
特に小さい子供さんはよく動くので、注意してあげたいですね。
大人でも、浴衣を着てたくさん動くのであれば苦しくなるかもしれません。
逆に腰ひもの位置が低すぎると、歩いているうちに下にずれてしまう場合があります。
こうなってしまうと応急処置で直すことは出来ず、着付け直しという事にもなり兼ねません。
腰ひもは本来「腰のあたり」で結ぶのが基本で、骨盤の一番出っ張っているところから指2本分ほど上が目安です。
あくまで数センチ程度の調整にとどめて、全体のバランスを崩さないようにしましょう。
子供の浴衣のおはしょりが長いときの対処法3選
子供に浴衣を着せるときは、大人以上に動きやすさや快適さを重視する必要があります。
ここでは、おはしょりが長い場合の代表的な対処法を3つ紹介します。
- おはしょりは長いまま着せる
- ゴムのウエストベルトを使う
- 裾上げ(腰上げ)をしておく
それでは順番にみていきましょう。
1. おはしょりは長いまま着せる
子供の場合は、あえておはしょりを長いままにしても問題ありません。
子供らしい可愛らしさが出ますし、成長を見越して大きめに仕立てられている浴衣なら自然な見た目になります。
写真に残しても違和感は少なく、むしろ「大きくなったな」と成長を実感できるきっかけにもなるでしょう。
2. ゴムのウエストベルトを使う
最近では、浴衣や着物用に販売されている「ゴム製のウエストベルト」が便利です。
平たいゴムにプラスチックの留め具が付いており、腰ひもの上に巻くだけでおはしょりの長さを安定させることができます。
ゴムなので苦しくなりにくく、浴衣の下でもゴワつきません。
ただし、腰ひもを省略してウエストベルトだけにするのはNG。
腰ひもは着物や浴衣を固定する大切な役割があるので、必ず両方を併用してください。
3. 裾上げ(腰上げ)をしておく
「裾上げ」または「腰上げ」と呼ばれる方法で、あらかじめ布を縫っておくのもおすすめです。
裾上げと言っても、洋服のズボンのように裾を折って縫うのではなく、腰の部分を折って縫うので、腰あげとも言います。
腰の部分を折って縫うだけなので簡単で、帯で隠れてしまうため見た目も気になりません。
成長に合わせて再度調整できるように、ミシンではなく手縫いで仕立てておくと便利です。
おはしょりの長さを調整するときの注意点
おはしょりの長さを整えるときには、見た目の美しさだけでなく、着る本人の快適さや動きやすさにも気を配る必要があります。
特に子供の場合は大人以上に敏感で、少しの締め付けや動きにくさがすぐに不快感につながります。
以下の点に注意しながら調整してみてください。
上げすぎないこと
おはしょりを短く見せようと腰ひもを高い位置で結びすぎると、胸に近い場所を締め付ける形になります。
子供は呼吸が浅くなったり、体を大きく動かしにくくなったりするため「苦しい」と感じやすいです。
特に夏の浴衣は暑さも加わるので、上げすぎには注意が必要です。
目安としては、先ほどもお伝えした通り骨盤の一番高い位置から指二本分上に腰ひもを結ぶと、自然で苦しくない仕上がりになります。
下げすぎないこと
反対に腰ひもを下げすぎると、歩いたり座ったりしたときに裾が下に引っ張られて崩れやすくなります。
裾がずれてしまうと、応急処置では直せず、着付けをやり直す必要が出てしまうこともあります。
動き回る子供は特に着崩れしやすいので、腰ひもはあまり下げすぎないことが大切です。
長すぎても可愛い場合がある
子供のおはしょりは多少長めでも不自然ではなく、むしろ「子供らしいあどけなさ」を引き立てる要素になることもあります。
大人の着物では整った長さが求められますが、子供の場合は「少し余っている」くらいの方が愛らしく見えるケースも多いのです。
写真に残したときにも、成長途中ならではの可愛らしさを演出してくれるでしょう。
親の目線で最終チェック
最も大切なのは、見た目の正しさよりも子供が快適に過ごせるかどうかです。
- 歩いたときにつまずかないか
- 胸やお腹が締め付けられていないか
- 動いたときに苦しそうではないか
これらを親の目で確認してあげることが安心につながります。
特に夏祭りや花火大会のように長時間着る場合は、多少見た目が崩れても「楽に着られること」を優先する方が子供にとっては良い思い出になります。
理想的なおはしょりの長さの目安
おはしょりは長すぎても短すぎても不格好になったり、着崩れの原因になったりします。
目安を知っておくと、調整がしやすくなります。
子供の場合
おはしょりは大人ほど厳密にしなくても大丈夫です。
理由は、子供は成長を見越して浴衣や着物を仕立てているため、余りが出やすいのが普通だから。
見える長さは5〜10cm程度が目安ですが、多少長め(15cmくらい)でも問題ありません。
特に小さい子供は「長め=愛らしさ」として可愛らしく見える場合もあります。
大人の場合
理想の長さは約10cm前後。
帯の下から見える部分がおよそ一握り程度(手のひらの厚みくらい)出ていると、すっきりとした印象になります。
長すぎるとだらしなく見え、短すぎると帯の下に隠れて不自然になるので注意しましょう。
- 子供は可愛らしさを重視:多少長くても「子供らしさ」として違和感なし。
- 大人はきちんと感を重視:10cm前後を意識することで全体の印象が整う。
- 共通する大切なこと:苦しさや動きにくさがないか、必ず最終チェックをする。
写真撮影のときに映えるおはしょりの長さ
立ち姿のとき
立ち姿の写真では、帯から裾までのラインが一直線に伸びて見えます。
おはしょりが10cm前後で整っていると、全体がすっきりした印象になります。
大人の場合は特に、この長さが「きちんと着付けている」印象を与えやすく、写真映えするポイントです。
子供の場合は多少長めでも違和感はなく、12〜15cmくらい出ていても「まだ小さいんだな」という可愛らしさが強調されます。
立ち姿では布がストンと落ちるので、少し余裕がある方がむしろ愛らしい雰囲気になります。
座り姿のとき
座った姿を撮ると、布が自然にふわっと広がるため、立ち姿よりもおはしょりが短く見えます。
このため、実際に立っているときよりも少し長めに出しておく方が写真映えするのです。
例えば、立ち姿で10cmに整えていても、座ると帯に隠れてほとんど見えなくなることがあります。
特に子供は足を崩して座ったり、体を動かしたりするので、おはしょりが帯に入り込んでしまうことも。
そのため立ち姿ではやや長め(12〜13cm程度)に整えておくと、座り姿の写真でもきれいに写りやすいです。
【写真に残すときのポイント】
- 立ち姿はすっきり見せたい → 大人は10cm前後、子供は12〜15cmでも可愛らしい
- 座り姿はおはしょりが隠れやすい → 少し長めに出しておくと写真でも映える
- 写真は「おはしょり単体」より「全体のバランス」が大切。
帯の位置・裾のライン・小物で全体の印象を整えることが重要
まとめ:おはしょりが長い時は腰ひもと工夫で調整できる
まとめると、
- おはしょりは腰ひもの位置で調整できる(高いと短く、低いと長くなる)
- 極端な位置で結ぶのはNG。着崩れや苦しさの原因になる
- 子供の浴衣では
1.長いまま着せる
2.ウエストベルトを活用する
3.裾上げ(腰上げ)をしておく
の3つが代表的な対処法
おはしょりは長さの美しさだけでなく「成長の証」でもあります。
去年よりも少し短くなったおはしょりを見て、「大きくなったなあ」と実感しながら着せてあげるのも、浴衣ならではの楽しみ方かもしれません。
【参考】
⇒七五三はおはしょりなしで子供に着付けて良いの?初心者向けにやさしく解説