「おさんどん」とは?意味と由来を解説
「おさんどん」という言葉を聞いたことがありますか?
これは主に関西地方を中心に使われる方言で、家事全般を指す言葉です。
特に「炊事・洗濯・掃除」といった家の仕事を意味することが多く、昔の家庭ではよく使われていました。
- 「おさんどん」の語源は?
「おさんどん」の語源については諸説ありますが、有力なのは**「おさんど(御三度)」が変化した**という説です。
昔は一家の主婦や奉公人が食事の支度を担当しており、「おさんどをする」という表現が日常的に使われていました。
そこから転じて、「食事の準備」だけでなく「家事全般」を指す言葉として広まったと考えられています。
関西の方言として知られていますが、他の地域でも似たような言い回しがあった可能性があります。
「おさんどん」はどの地域の方言?使われるエリアと方言の違い
「おさんどん」は主に関西地方の方言として知られていますが、具体的にはどの地域で使われているのでしょうか?
また、地域によって微妙な違いがあるのかも見ていきましょう。
「おさんどん」が使われる地域
「おさんどん」がよく使われていたとされるのは、以下の地域です。
- 大阪府:昔の大阪では「おさんどんをする」という言い方が一般的でした。
- 京都府:特に昔の町家文化の中で、「おさんどん」は家事を担当する人を指す言葉としても使われていました。
- 兵庫県(特に神戸周辺):大阪と同じように、「おさんどん」が家事の意味で使われていました。
- 奈良県・滋賀県・和歌山県:関西圏内で広く知られており、年配の方を中心に今でも使われることがあります。
このように、「おさんどん」は関西地方の言葉として根付いていますが、現在では若い世代にはあまり使われなくなってきています。
地域による言い方の違い
関西では「おさんどん」が一般的ですが、他の地域では同じような意味を持つ方言が存在します。
- 関東地方:「飯炊き」「お台所番」などの言い回しが近い意味を持つことがある
- 九州地方:「おかん仕事」(母親がする家事の意味で使われることがある)
- 東北地方:「おばんがする仕事」(昔の東北では「おばん=年配の女性」という意味で使われた)
このように、言葉は違っても「家事をすること」や「家事を担当する人」を指す方言は全国にいくつか存在しています。
昔の暮らしと「おさんどん」— どんな場面で使われたのか
「おさんどん」という言葉がよく使われていたのは、昭和の時代までの日本の家庭でした。
特に、専業主婦が家事を担うことが当たり前だった時代には、日常的に使われる言葉の一つになっていました。
昔の家庭での「おさんどん」
昭和の頃までは、家事の役割がはっきりと分かれていました。
- 主婦(または家の女性たち)が「おさんどん」をするのが当たり前
- 食事の準備だけでなく、掃除や洗濯も含めて「おさんどん」と言われる
- 「おさんどんをする人(=家事を担当する人)」を指すこともあった
たとえば昔のおばあちゃん世代が、こんな風に使っていたことが考えられます。
「今日はおさんどんばっかりで忙しかったわ〜。」
(=ずっと家事をしていて忙しかった)
「昔は、嫁が来たらおさんどんを全部任せるのが普通やったんやで。」
(=昔は嫁が家事をするのが当たり前だった)
特に昭和の家庭では「家事は女性の仕事」という価値観が強かったため、「おさんどん」という言葉は、家の中での女性の役割を示す言葉としても使われていたのです。
「おさんどん」は苦労の象徴でもあった?
家事は終わりがなく、毎日続くもの。
そのため、「おさんどん」という言葉には、時に大変な仕事・負担の多い仕事というニュアンスが含まれることもありました。
例えば、家族の中で「おさんどんをする人」が1人に集中すると、その人の負担が大きくなりますよね。
そのため、女性たちの間では、**「おさんどんばかりで大変」**という言葉が共感を生むこともあったんだとか。
現代でも「おさんどん」は使われる?今の使われ方をチェック!
昔の家庭では当たり前のように使われていた「おさんどん」ですが、現代でもこの言葉は使われているのでしょうか?
若い世代にはほぼ使われない?
現在、「おさんどん」という言葉は若い世代にはほとんど通じなくなっているのが実情です。
理由としては、以下のような点が挙げられます。
- ライフスタイルの変化:共働き家庭が増え、「家事は女性がするもの」という価値観が薄れた
- 言葉自体が古い:特に関西以外では「おさんどん」という言葉自体を聞く機会が少ない
- 標準語の影響:「家事」や「炊事」という言葉が一般的になり、方言が使われにくくなった
特に、関西地方以外の若い世代では「おさんどん」という言葉を知らない人がほとんどで、聞いたことがあっても意味を知らないという方が多いです。
年配の方や昔の文化を知る人には通じることも
一方で、昭和の暮らしを経験した世代や、古い言葉に詳しい人の間では今でも通じることがあります。
例えば、関西の年配の方同士の会話では、今でもこんな風に使われることがあります。
「おさんどんばっかりで、ほんま疲れるわ〜。」
(=ずっと家事をしていて疲れる)
「うちの母ちゃん、おさんどんせんようになったら、途端に楽になった言うてたわ。」
(=母が家事をしなくなったら、楽になったと言っていた)
このように、家庭の中の「家事の大変さ」を表現する言葉として、今でも使われています。
現代ではどんな言葉に置き換えられている?
現在、「おさんどん」という言葉の代わりに、以下のような表現が一般的になっています。
- 「家事をする」(標準語として広く使われる)
- 「炊事・掃除・洗濯」(具体的な家事の内容を表す)
- 「主婦(主夫)業」(家事を仕事として表現する言い方)
- 「ワンオペ家事」(家事を1人でこなす大変さを表す新しい言葉)
このように、言葉は変わっても、**「家事をすることの大変さ」**を表す表現は今でもさまざまな形で使われています。
まとめ:「おさんどん」は家事を象徴する日本の文化的な言葉
「おさんどん」という言葉は、かつて日本の家庭で広く使われていた家事を意味する関西の方言でした。
特に昭和の時代までは「女性が家を守る」という考え方が強く、家事を担当することを「おさんどんをする」と表現することが一般的でした。
しかし現代では、ライフスタイルの変化とともにこの言葉を使う機会は減り、若い世代にはほとんど知られていません。
その代わり、「家事」「主婦(主夫)業」「ワンオペ家事」など、新しい言葉が使われるようになっています。
とはいえ、「おさんどん」という言葉の背景には、家事の大変さや日々の暮らしを支える人への敬意が込められていました。
言葉としては使われなくなっても、家事の重要性は変わりません。
もし機会があれば、お年寄りの方に「おさんどん」という言葉を聞いてみると、昔の家庭の話を聞けるかもしれませんよ!