クーラントの交換時期は、年数や走行距離だけでなく、色や状態の変化でも判断できます。
エンジンオイルは定期的に交換していても、ラジエーターのクーラント(冷却水)については、「いつ交換すればいいのか分からない」「ロングライフだからそのままで大丈夫」と思っている方が多いのです。
しかし、クーラントは時間の経過とともに劣化し、防錆性能や冷却性能が低下していきます。
そのまま使い続けると、ラジエーター内部の腐食や詰まり、冷却不足によるオーバーヒートなど、エンジンに深刻なダメージを与える原因になることもあります。
特に中古車の場合は、前回いつ交換されたのか分からないケースも多く、年数だけでなく「見た目の状態」で判断することが重要になります。
この記事では、
- クーラントの交換時期の目安(年数・距離)
- LLCとスーパーロングライフクーラントの違い
- 色や状態から劣化を見分ける方法
- 交換を怠ると起こるトラブル
- DIY交換の流れと注意点
について、車のメンテナンスに不慣れな方にも分かりやすく解説していきます。
まずは、クーラントの基本となる交換時期の目安から見ていきましょう。
クーラントの交換時期の目安

クーラントの交換時期は、使用している種類によって大きく異なります。
一般的に、従来タイプのクーラント(ロングライフクーラント:LLC)の場合は、2年ごと、または約2万kmごとの交換が目安とされています。
管理を簡単にするなら、車検ごとに交換する方法が分かりやすく、整備工場でもよく採用されているタイミングです。
一方、最近の車に多く使われているのが、スーパーロングライフクーラント(SLLC)です。
こちらは耐久性が高く、新車時から初回交換が5~10年後とされている車種もあります。
その後の交換サイクルも長めに設定されているため、従来の感覚で2年ごとに交換する必要はありません。
ただし、注意したいのは車種やメーカーによって交換時期が異なる点です。
同じ色のクーラントでも仕様が違う場合があるため、最も確実なのは取扱説明書やメンテナンスノートを確認することです。
また、交換時期は年数や距離だけで判断するものではありません。
使用環境や保管状況によって劣化の進み方は変わるため、次のようなケースでは早めの点検・交換を検討しましょう。
- 前回の交換時期が分からない中古車
- 長期間ほとんど乗っていない車
- リザーバータンクの液量が減っている
- 液の色が濁っている、または変色している
特に中古車の場合は、記録が残っていないことも多いため、購入後に一度交換しておくと安心です。
クーラントは長寿命の消耗品ですが、完全なメンテナンスフリーではありません。
「LLCは約2年」「SLLCは5~10年」を目安に、状態もあわせて確認することが、トラブルを防ぐポイントになります。
クーラントの劣化を色や状態で見分ける方法
前回の交換時期が分からない場合は、リザーバータンク内の色と状態を見ることで、交換の目安を判断できます。
特に中古車を購入したときや、メンテナンス記録が残っていない場合は、年数や距離よりも実際の状態を確認することが重要です。
確認方法は簡単で、エンジンが冷えている状態でボンネットを開け、リザーバータンクの中の液体の色をチェックします。
クーラントは新品の状態では、緑・赤・青・ピンクなど、透明感のあるはっきりした色をしています。
しかし、劣化が進むと次のような変化が現れます。
- 色が茶色やサビ色に変わっている
- 液が濁っている、透明感がない
- タンク内部に沈殿物や汚れが見える
このような状態であれば、交換時期と考えてよいでしょう。
特に茶色への変色は、防錆性能が低下し、内部で腐食が進んでいるサインです。
なお、クーラントの色はメーカーや種類によって異なりますが、色の違いは性能ではなく識別のためのものです。
重要なのは色の種類ではなく、「透明感があるか」「変色や濁りがないか」という状態の変化です。
年数の目安に加えて、定期的に色や状態を確認しておくことで、クーラントの劣化に早く気付くことができます。
クーラントが劣化すると起こるトラブル
クーラントの交換を怠ると、冷却性能の低下や内部の腐食によって、エンジンに深刻なトラブルが発生する可能性があります。
クーラントは単なる冷却水ではなく、防錆剤や防泡剤などの添加剤が含まれており、エンジン内部やラジエーターを保護する役割も担っています。
しかし、長期間使用するとこれらの添加剤が劣化し、本来の性能を発揮できなくなります。
まず起こりやすいのが、冷却性能の低下です。
エンジンの熱を十分に逃がせなくなることで水温が上昇し、最悪の場合はオーバーヒートを引き起こします。
オーバーヒートが発生すると、エンジン内部の部品が変形したり、ガスケットが損傷したりと、大きな修理が必要になることもあります。
さらに、劣化したクーラントはサビの発生や腐食の進行を招きます。
ラジエーター内部の細い通路がサビやスラッジで詰まると、冷却効率がさらに悪化します。
また、ウォーターポンプ内部の金属部品が傷み、異音や水漏れなどの故障につながるケースもあります。
こうした状態が進行すると、最終的にはエンジンが焼き付くなどの重大トラブルに発展する可能性もあります。
エンジン載せ替えとなれば、修理費用は数十万円以上になることも珍しくありません。
クーラントは見た目に変化が出にくいため、劣化に気付きにくい部品です。
しかし交換を先延ばしにするほど、トラブルのリスクと修理費用は大きくなります。
定期的な交換は、オーバーヒートや高額修理を防ぐための予防整備と考えておくとよいでしょう。
クーラントの色の違いとLLC・SLLCの関係
クーラントの色は性能の違いではなく、種類やメーカーを識別するための目印として使われています。
クーラントにはいくつかの色がありますが、大きく分けると次の2種類に分類されます。
- 緑・赤:ロングライフクーラント(LLC)
- 青・ピンク:スーパーロングライフクーラント(SLLC)
LLCは従来タイプで、交換目安は約2年ごとです。
一方、SLLCは耐久性を高めたタイプで、車種によっては5~10年と長期間使用できるのが特徴です。
最近の新車では、青やピンクのSLLCが採用されているケースが増えています。
ここで注意したいのが、色や種類の違うクーラントを混ぜないことです。
例えば、SLLC(青・ピンク)にLLC(緑・赤)を補充してしまうと、本来の長寿命性能が維持できなくなり、交換サイクルが短くなる可能性があります。
また、異なる色が混ざることで、劣化の判断がしにくくなるというデメリットもあります。
クーラントを補充・交換する際は、
- 現在入っている色と同じものを使用する
- 種類が分からない場合は、全量交換する
この2点を意識することが重要です。
なお、同じ色でもメーカーや車種によって仕様が異なる場合があります。
最も確実なのは、取扱説明書やメンテナンスノートで指定されているクーラントを確認することです。
クーラントの色は見た目の違いではなく、交換時期や管理方法に関わる重要な情報です。補充や交換の際は、色と種類をしっかり確認しておきましょう。
クーラントの役割とは?水だけではダメな理由
クーラントは、エンジンを冷やすだけでなく、内部を保護する重要な役割を持っています。
クーラント(冷却水)は単なる水ではなく、エンジンを安全に保つための添加剤が含まれた専用の液体です。
主な役割は次の3つです。
- 凍結を防ぐ(不凍性能)
- サビや腐食を防ぐ(防錆性能)
- 泡の発生を抑える(防泡性能)
では順番に見ていきましょう。
①凍結を防ぐ(不凍性能)
まず、不凍性能についてです。
クーラントの主成分であるエチレングリコールには凍結を防ぐ働きがあり、寒い地域でも液体の状態を保ちます。
水だけを使用すると、冬場に凍結してしまい、ラジエーター内部の細い通路やチューブが詰まる原因になります。
さらに凍結による膨張で、ラジエーターやエンジン内部を破損させてしまう恐れもあります。
また、車の暖房はエンジンで温められたクーラントの熱を利用しています。
そのため、冷却系統に異常が起きたり、クーラントの循環が悪くなったりすると、暖房が効かなくなることもあります。
②サビや腐食を防ぐ(防錆性能)
次に、防錆性能です。
冷却系統の内部にはアルミや鉄などの金属が使われているため、水だけではサビが発生し、通路の詰まりや水漏れの原因になります。
クーラントには防錆剤が含まれており、これらの劣化を防いでいます。
③泡の発生を抑える(防泡性能)
さらに、防泡性能も重要です。
冷却水が循環する際に泡が発生すると、ウォーターポンプ内部で圧力変化(キャビテーション)が起こり、部品の摩耗や冷却性能の低下につながります。
このようにクーラントには、冷却・防錆・不凍・防泡といった複数の機能があり、エンジンの冷却系統を総合的に保護しています。
そのため、通常の使用で水だけを入れて走り続けるのは避けるべきです。
水だけでは防錆剤や添加剤が含まれていないため、内部腐食や性能低下の原因になります。
ただし、緊急時に限って水を補充すること自体は問題ありません。
走行中にクーラントが減ってしまった場合は、液量不足のまま走る方が危険です。
応急処置として水を補充し、オーバーヒートを防ぐことが優先されます。
しかし、水を入れるとクーラントの濃度が薄くなり、
- 防錆性能の低下
- 凍結温度の上昇
- 添加剤の効果低下
といった状態になります。
そのため、水を補充した場合はそのままにせず、早めにクーラントを補充または交換して濃度を適正に戻すことが大切です。
クーラントは単なる冷却液ではなく、エンジン全体を守る保護液です。
日常管理では水ではなく、必ず適切な濃度のクーラントを使用するようにしましょう。
クーラントの希釈率について
クーラントは、濃すぎても薄すぎても性能が十分に発揮されません。
適正な希釈率で使用することが重要です。
市販のクーラントには、大きく分けて次の2種類があります。
- そのまま使える「ストレートタイプ(希釈済み)」
- 水で薄めて使う「原液タイプ」
ストレートタイプは注ぐだけなので手軽ですが、原液タイプの場合は水で希釈する必要があります。
一般的な希釈率は30~50%で、寒冷地では凍結防止のために濃度を高めに設定することもあります。
ここで注意したいのが、希釈率のバランスです。
クーラントが薄すぎる場合
- 防錆性能が低下する
- 凍結しやすくなる
- 添加剤の効果が弱くなる
反対に、濃すぎる場合
- 冷却性能が低下する
- 液の流れが悪くなる
- ラジエーター内部の細い通路で詰まりの原因になる
クーラントは水よりも熱を逃がす性能がやや低いため、濃すぎるとエンジンの冷却効率が落ちてしまいます。
原液タイプを使用する場合は、ラジエーター内で直接混ぜるのではなく、あらかじめ容器で希釈してから入れる方法がおすすめです。
この方法なら濃度のばらつきを防ぐことができます。
なお、濃度を正確に測定するには専用の濃度計が必要ですが、一般ユーザーの場合は規定の割合で希釈するか、不安な場合は整備工場やガソリンスタンドで点検してもらうと安心です。
クーラントは量だけでなく、濃度管理も重要なメンテナンス項目です。
適正な希釈率を守ることで、冷却性能と保護性能の両方をしっかり維持することができます。
クーラントの交換手順
クーラント交換は、「抜く → 洗浄する → 入れる → エア抜き」の流れで行います。
作業自体はシンプルですが、冷却系統に空気が残るとオーバーヒートの原因になるため、手順を守って慎重に行うことが大切です。
まず、エンジンが完全に冷えている状態で作業を開始します。
熱い状態でラジエーターキャップを開けると、内部の圧力で高温のクーラントが噴き出し、やけどの危険があります。
最初にラジエーター下部にあるドレンコックを開け、古いクーラントを排出します。
このとき、先にラジエーターキャップを外しておくと、スムーズに抜けます。
次に、一度ドレンを閉めて水を注ぎ、エンジンをかけてアイドリングします。
このとき、暖房をMAX・風量最大に設定してください。
車の暖房は、ヒーターコアという小さなラジエーターにクーラントを循環させ、その熱を利用しています。
暖房をONにすることで、ヒーターコア内部に残っている古いクーラントも循環し、排出できるようになります。
水温が上昇するとサーモスタットが開き、冷却系統全体にクーラントが流れ始めます。
ラジエーターファンが一度作動するまで暖機することで、エンジン・ラジエーター・ヒーターコアを含めた冷却系統全体に液が循環した目安になります。
ラジエーターファンとは、ラジエーターの裏に付いている扇風機みたいな白い羽根のファンことです。
ファンが作動したらエンジンを停止し、水温が下がってからドレンを開けて再び排出します。
この洗浄作業を2~3回繰り返すことで、冷却系統内の古いクーラントを全て除去できます。
可能であれば、リザーバータンクを取り外して内部を水洗いしておくと、汚れや沈殿物も除去でき、より効果的です。
洗浄が終わったらドレンコックをしっかり閉め、新しいクーラントを注入します。
この時、じょうごがあると入れやすいです。
その後、再びアイドリングを行いながらエア抜きを行います。
ラジエーター口から気泡が出なくなり、液面が安定したらキャップを閉め、リザーバータンクにも規定量まで補充します。
※気泡が出るたびに液量が減るため
車種によってはエア抜き用のニップルが付いている場合もあるため、事前に取扱説明書を確認しておくと安心です。
クーラント交換で最も重要なのは、エアを残さないことです。
エア噛みがあると冷却不良の原因になるため、時間をかけて確実に行いましょう。
古いクーラントの処理方法
使用済みのクーラントは、そのまま排水したり、土や側溝に流したりしてはいけません。
クーラントの主成分であるエチレングリコールは環境負荷のある化学物質で、適切な方法で処理する必要があります。
誤った処分は環境汚染につながるだけでなく、地域によっては処分方法が条例で定められている場合もあります。
DIYで交換した場合は、事前に処分方法を確認しておくことが大切です。
まず一般的な方法として、ガソリンスタンドや整備工場、購入したカー用品店に引き取り可能か相談する方法があります。
ただし、対応していない店舗もあるため、事前に確認しておくと安心です。
引き取りは有料になるケースが多く、処理費用がかかることもあります。
もうひとつの方法として、液体廃棄物用の凝固剤を使う方法があります。
市販の「液状廃棄物凝固剤」を使用すると、クーラントを固形化でき、その地域のルールに従って可燃ごみとして処分できる場合があります。
この方法を利用する場合は、液体が完全に固まっていることを確認してから廃棄してください。
半液体のまま処分すると、袋の破損や漏れの原因になります。
いずれの方法でも重要なのは、絶対に河川や側溝、下水に流さないことです。
クーラント交換は作業そのものだけでなく、廃液の処理まで含めて正しいメンテナンスです。
事前に処分方法を確認しておくことで、安全かつ環境に配慮した作業が行えます。
お店に依頼した場合の費用と時間
クーラント交換はDIYでも可能ですが、手間や廃液処理が不安な場合はお店に依頼するのが安心です。
作業自体はそれほど難しくありませんが、冷却系統のエア抜きや廃液の処理などを考えると、専門店に任せた方が確実に作業してもらえるというメリットがあります。
一般的なカー用品店や整備工場での費用の目安は次の通りです。
カー用品店(オートバックス・イエローハットなど)
- 工賃:2,000円~3,000円前後
- 作業時間:30分程度
- クーラント代:車種により別途(1Lあたり約1,000円前後)
比較的安価で作業できるのが特徴ですが、週末や繁忙期は待ち時間が長くなることもあります。
ディーラーの場合
- 工賃:5,000円前後
- 作業時間:30分~1時間程度
ディーラーでは専用のクーラントチェンジャーを使用することが多く、冷却系統内の空気混入を防ぎながら確実に交換できるのがメリットです。
費用はやや高めですが、作業の確実性を重視する方にはおすすめです。
なお、クーラント容量は車種によって異なるため、最終的な費用は車の大きさや使用量によって変わります。
DIYの場合と比べても、総額は数千円程度の差で済むことが多いため、
- 作業に自信がない
- 廃液処理が難しい
- 時間をかけたくない
このような場合は、無理をせずお店に依頼するのも一つの選択です。
まとめ:クーラントの交換は「年数+状態確認」で判断するのがポイント

クーラントの交換時期は、年数の目安に加えて、色や状態の変化もあわせて判断することが大切です。
一般的なロングライフクーラント(LLC)は約2年ごと、スーパーロングライフクーラン(SLLC)は5~10年が交換の目安ですが、使用環境によって劣化の進み方は異なります。
リザーバータンク内の液が茶色く変色していたり、濁りや沈殿物が見られたりする場合は、交換時期と考えてよいでしょう。
クーラントが劣化すると、防錆性能や冷却性能が低下し、ラジエーターの詰まりやウォーターポンプの故障、さらにはオーバーヒートなどの重大トラブルにつながる可能性があります。
エンジン修理は高額になるため、定期的な交換は重要な予防整備といえます。
交換作業自体はDIYでも可能ですが、冷却系統の洗浄やエア抜き、廃液の処理など、手間がかかる作業でもあります。
不安な場合は、カー用品店や整備工場に依頼するのも安心です。
費用は数千円程度が目安となり、大きな負担にはなりません。
また、補充の際は異なる種類や色のクーラントを混ぜないこと、緊急時に水を補充した場合は早めに濃度を調整または交換することもポイントです。
クーラントは長寿命の消耗品ですが、メンテナンスフリーではありません。
交換時期の目安と状態確認を習慣にすることで、エンジントラブルを未然に防ぐことができます。
【参考】
⇒エーモン配線コネクターの選び方!車DIY初心者向けに基礎から解説





